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レポート

第25回がんコンベンション

第25回 統合療法 日本がんコンベンション | がんは怖くない! 統合医療が生きるチカラになる

「世界の統合療法の情報を一人でも多くの人に知ってもらいたい」
その想いと共に1990年から始まった統合療法 日本がんコンベンション。今年は、昨年に引き続いて7月6日(土)・7日(日)東京、7月13日(土)京都の二会場での運びとなり、3日間で述べ1,000人近く方にご来場いただきました。この記事では、東京と京都で開催されたがんコンベンション様子をダイジェストでお伝えします。

がん治療は「全体」で取り組む

東京会場の初日は、梅雨雲が垂れ込め、ときおり小雨が降るあいにくの空模様。それでも会場となった浅草橋ヒューリックホールには、早朝から多くの参加者がつめかけました。

第1回から25年間にわたり講演の一番手を務めるのは、帯津三敬病院名誉院長の帯津良一先生です。自身が提唱するホリスティック医療(全体医学)について展開し「医療の本分は、人間の尊厳を保つサポートをすること。生命哲学に基づいた、自然治癒力と物理化学的治療、治療者と患者の関係性が、がん治療には大事」と強調しました。

アメリカから初来場のアニータ・ウィルソンさんは、1930年代にマックス・ゲルソン博士が開発した食事療法である「ゲルソン療法」の継承者。

がんと慢性疾患に有効なゲルソン療法を世界中に伝える活動を行なっています。ゲルソン療法もまた「全体性」を重んじ、細胞の深いレベルからの回復を目的に、栄養摂取と解毒のアプローチを行います。ウィルソンさんは「がんの治癒は心理、栄養、解毒、感染、環境などトータルで取り組むべき」だと促しました。

個別化や放射線を生かす最新の知見

国際医療福祉大学市川病院の高橋豊教授による「がんの休眠療法」も目を引きました。

「抗がん剤治療は個人差があり副作用が強い。治療が継続できなくなるのは、投与する量に問題がある」との考えに立つものです。それゆえ高橋医師は「個別化して最大継続可能量を見極めることが重要」と主張しました。

同じ現役医師の立場から、新しいがん免疫治療「GcMAF」について講演された秋山真一郎先生、「放射線ホルミシスは、ミトコンドリアを活性化する」と、ホルミシスの有効性をアピールした水上治先生、さらには旺盛な出版、執筆活動で病気の原因となる毒のクリーニングの重要性を訴えた船瀬俊介先生なども興味深い内容で、会場から質問や称賛が寄せられていました。

「自然欠乏症」を富士山麓で矯正

東京2日目は、腸内細菌でお馴染みの藤田紘一郎先生が登場。藤田先生は、腸内細菌や腸内フローラから見る最新の予防医学について講演しました。
2番目に登壇したアキバ水野クリニックの水野雅登院長は、独自に開発した「ビタミン・ケトン療法」によるがん治療について報告、副作用が少ない新たな治療法としての可能性に、参加者は期待を膨らませていたようです。
統合療法には、自然療法や食事・栄養の視点が不可欠です。今年は、その内容にふさわしい人物も次つぎと登壇しました。

医師で、富士山麓で診療所や静養園を展開する山本竜隆先生は、病院ではなく広大な自然のなかで統合療法を実践するドクター。

現代社会で多くのストレスを抱えた「自然欠乏症候群」の人たちが、日本初の統合医療施設「統合医療ビレッジ」での滞在、体験を通して矯正していく様子を語り、注目を集めました。

糖質制限で不登校や学習障害を克服

不登校や学習障害の子どもたちを、糖質制限で次つぎと立ち直らせているのが、三島塾の三島学塾長です。糖尿病から立ち直った自らの経験を生かし、糖質制限と学習指導で大きな成果をあげた話は迫力満点。全国や海外からも塾生が集まるのもうなずけました。
2日目のメインは、メキシコ・ティファナからの最前線報告として来日した、統合医療の世界的権威、アントニオ・ヒメネス(通称:トニー)先生です。

現地で統合医療専門クリニックを開くトニー医師は、「がんからの脱却をめざすには包括的な治療が大事で、カメラに例えると広角レンズの見方が重要」だと強調しました。

患者の全体像を見て、治療だけにとどまらず、生活の質の向上、何ががんをつくっているかを発見、副作用がない自然なアプローチ、臨床結果の有効性検証などが必要とし、自身が展開する統合療法の7つの重要原則について解説し、会場を引き込んでいました。そして最後に、ホリスティック経営コンサルタントの寺山心一翁さんが登壇し、自らのがん体験をもとに、治る力と意識の関係について語りました。

統合療法の権威が京都に集結

一方、7月13日(土)に行われた京都会場は、話題性にあふれた講師陣で終始和やかなムードに包まれました。

昨年に引き続いて京都で2回目の登壇となったのは、京都大学名誉教授で、からすま和田クリニック院長の和田洋巳医師です。和田院長は、体が酸性化するとがん細胞が増殖することに注目し、果物や野菜を中心に糖質や塩分を控えるなど体をアルカリ化にする和田式食事法の実践でがんの進行を止めることができると主張しました。

会場を笑いに包んだのは、福島県の郡山市であさひ内科クリニックを開業する新井圭輔院長です。「糖尿病合併症は、薬害だ」と主張する新井医師は、薬に頼らない糖質制限や独自に開発した低インスリン療法で合併症が起きないことを示しました。がん治療においても、標準治療にこだわらなくても必ずよくなると訴えました。

「自分で作った病気は自分で治せる」と、会場を引きこんだ石川眞樹夫先生の講演も興味深いものでした。

自然療法によるがんの予防と克服について話を展開し、ヒポクラテスの格言「なんじの薬は食事。食事を薬とせよ」を引用し、食の重要性をアピールしました。

がんはもはや死の病ではない

京都会場の締めくくりに登場した二人の先生もまた、独特の視点と切り口で会場を沸かせます。
「大往生したけりゃ医療とかかわるな〈自然死のすすめ〉」の著書で知られる中村仁一医師は、延命医療や介護を辞退し、自然な死をめざすべきと主張します。医療は「頼らず、任せず、自分の生き方重視で選ぶべき」とする考え方に、頷く姿も多く見られました。

最後は「ケトン体」研究の国内第一人者、宗田哲男医師です。

宗田医師はがん、糖尿病、認知症をテーマに、ブドウ糖エネルギーに依存しなくても、脂肪の代謝産物であるケトン体エネルギーで十分生きていけることを、胎児や新生児の臨床データを元に解説。糖質依存からケトン体質に切り替えることでがんや糖尿病、認知症にならない健康長寿な生活が送れることを示しました。

ボランティアスタッフと共に創作

3日間を通して、講演者のサイン会や交流、関連商品や書籍に手を伸ばす人も多く見られました。がん治療としての統合医療が確実に浸透し、新たな治療法として採用する医師も増えています。今回のがんコンベンションを通じて勇気づけられたのは、がんはもはや死の病ではないことです。西洋医学や代替療法、伝統医学などを組み合わせた統合医療を積極的に取り入れ、本来人間が兼ね備えている免疫力や自然治癒力を発揮させることで、生きるチカラが何倍にもなるのです。

大盛況のうちに幕を閉じた第25回 統合療法 日本がんコンベンション。その成功の背景には、毎年集まる多くのボランティアスタッフの多大なる貢献があります。開催日の半年以上前からミーティングを重ね、事前準備から当日の運営まで、がんコンベンションをともに創り上げてきたボランティアスタッフに心より御礼申し上げます。

来年のがんコンベンションは、2020年7月4日(土)・5日(日)東京 浅草橋ヒューリックホールにて開催いたします。(京都の日程は未定です)皆様のご参加をぜひお待ちしております。

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