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がん治療の名医たち

 長年に渡って開催された統合療法コンベンションが今回で第28回目を迎えました。今回の見所はがん治療はもちろん、現代の精神医療の問題点や、死生学の観点で「死」をどう捉えるかなどにも迫った点です。

 まず1日目のトップバッターを務めたのは帯津良一医師。61年間の医療経験から、長年追究してきたホリスティック医学の終局として「全ての人が生と死を統合して、あの世に行くことをサポートしていくのがホリスティック医学」と提唱しました。老化と死をきちんと受け入れ、尚且つ楽しみながら生と死の統合を目指すといった、身体だけの治療でなく“こころ”の治療も目的としています。

 続いては、Hope 4 Cancerの創設者兼院長であるアントニオ・ヒメネス医師。「がん細胞は賢いからこそ、しっかりと治療をする必要がある」と警鐘をならしました。また “賢い”がん細胞は複数の変異体を持っているため、それぞれを抑えることが大事として様々な角度からの、がん治療の数々を紹介しました。
 また、注目したいのが「口内細菌の検査」です。アントニオ先生は口内細菌を調べることによって体内の健康状態が分かると明らかにしました。

初登壇の赤木純児医師は実際の治療例を紹介。近年は、低容量化学療法と、他の治療法と併用して有効性を高める方法を取り入れています。例えば、がん細胞の動きを阻害する免疫チェックポイント阻害剤のオブジープやヤーボイとの併用はじめ、有効率を上げる水素ガスに光がん免疫療法を併用し、さらに高濃度ビタミンC療法、CTC検査を加えた治療法などを採用しています。
 特に“オプシーボ”は「全てのがんに効く。投与をやめても数年以上有効で再発が少ない」と述べています。

マーケティングの真実

 赤木先生と同じく初登壇の米田倫康先生は精神医学の場で起きている人権侵害の問題に取り組んでいます。米田先生は平成10年以降に増えた新型抗うつ薬により、必要のない薬の投与を余儀なくされている人が多いことに問題提起をされていました。これは新型抗うつ薬に対しての壁を低くするマーケティングが原因だとし、その結果、薬を摂取し副作用を引き起こすリスクがあると強調しています。

 1日目の最後は新井圭輔医師です。自身の経験から「健康には1日1食が有効」と開口し、そこから糖尿病の合併症について言及しました。糖尿病合併症は高血糖によるものではなく、高インスリン治療による薬害であると、実際の治療成果に基づいた持論を展開しました。

希望を持たせる治療法

 2日目のトップを切ったのはこちらも初登壇の加藤直哉医師です。加藤医師はがん治療だけでなく死を科学として研究し博士号を取得している「死生学」にも取り組んでいます。がん治療についてはミトコンドリアが働かなければがんの治癒は難しいとし、その重要性を訴えました。またがん患者の3割は栄養不良の状態で、たんぱく質をとる、砂糖を減らすことが大切だと訴えました。
 そして「死生学」では臨死体験により死への恐怖が減ったとの研究結果を引き合いにし、希望を持たせる講演内容となりました。

 続いてはNPO法人がんコントロール協会の理事長である森山晃嗣です。今回の講演では食事はもちろん、マインドについても触れました。治療を行っていく上で目的・目標を明確にすること、マイナスの感情を誰かに受け取ってもらう等、マインドの大切さも指摘しました。

 ハイパーサーミア(温熱治療)を中心にがん治療に取り組んでいるのは、こちらも初登壇の中村仁信医師です。中村先生は抗がん剤と温熱を併用することによって薬剤の効果が上がり、症状を抑え再発も少ないという持論を述べました。またがん治療に低線量放射線が効果的であることにも言及。抗酸化作用のある体内酵素の活性化に効果的と見解を述べました。

危険なメチル水銀と鉄不足 

 続いては、コンベンションではお馴染みの先生です。メチル水銀の危険性について語ったのは秋山真一郎医師です。メチル水銀は、体内に入ると免疫力の低下・水俣病・パーキソン病・認知病・発達障害と様々な病気の原因になると述べています。その為、重金属を除くデトックスが重要だと語りました。

 コンベンションのトリを飾るのは宗田哲男医師です。産婦人科の観点から妊娠糖尿病の患者に対して、糖質過多の食事を提供している病院への懸念を示しました。
 また鉄不足に対して日本は無策であり、鉄不足のままでは母親が産後うつを招く可能性があると見解を述べました 。
 今回も様々な治療法や新たな知見、講師陣の熱意に心を動かされた人たちは多かったのではないでしょうか?
 希望につながる治療法を知ることでぜひご自身の体づくりに役立ててください。

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